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中江岩戸神楽三十三座
更新日: 2012-03-23 (金) 20:41:04 (4410d)
国選択無形民俗文化財。
神楽の里として全国に知られている波野の中江岩戸神楽は荻岳のふもとの中江地区に伝承されています。
「天の岩戸」の神話を題材に御岳神社(大分県清川村)に伝わる神楽をもとに宮神楽、里神楽、宮中雅楽、久米舞いを取り入れ33座に構成されています。わずか24世帯の小集落に200年以上にわたって伝承されてきたものです。
平成2年熊本県立劇場での24時間完全復元公演を契機に、神楽による地域おこしの中核として建設されたのが神楽苑で、「道の駅」の指定を受けています。また、定期的に神楽を公演する施設として銅版葺き、ヒノキ張りの舞台の「中江神楽殿」が荻神社に併設されています。毎月第1日曜日午後1時から定期公演が行われています。
波野小学校では、平成12年度から中江岩戸神楽を伝承しようと、「波野こども神楽部」が発足しました。
- 第一座 五方礼始(ごほうれいし)
- 第二座 随神(ずいしん)
- 第三座 平国(へいこく)
- 第四座 返矢(かえしや)
- 第五座 天皇遺(てんこうき)
- 第六座 綱の母(つなのはは)
- 第七座 神逐(かみやらい)
- 第八座 舞入(まいいれ)
- 第九座 貴見城(きけんじょう)
- 第十座 朝倉返(あさくらがえし)
- 第十一座 綱武(つなたけ)
- 第十二座 降臨(こうりん)
- 第十三座 地割(じわり)
- 第十四座 武者(むしゃ)
- 第十五座 宮〆(みやじめ)
- 第十六座 八雲払(やぐもばらい)
- 第十七座 魔払(まばらい)
- 第十八座 神使(かみづかい)
- 第十九座 礼始(れいし)
- 第二十座 柴曳(しばひき)
- 第二十一座 岩戸開(いわとびらき)
- 第二十二座 柴入(しばいれ)
- 第二十三座 天の〆(てんのしめ)
- 第二十四座 網切(つなきり)
- 第二十五座 誓約(うげい)
- 第二十六座 公矢(こうや)
- 第二十七座 荒神(こうじん)
- 第二十八座 心化(しんか)
- 第二十九座 平鉾(ひらほこ)
- 第三十座 五穀舞(ごこくまい)
- 第三十一座 大平楽(たいへいらく)
- 第三十二座 岩戸舞(いわとまい)
- 第三十三座 大神(だいじん)
第一座 五方礼始(ごほうれいし)
東西南北と中央の神様に礼を尽くし、今から舞う神楽が無事に終わるようにと神々に願い奉る儀式です。
第二座 随神(ずいしん)
古事記、日本書紀に出てくる「国生み」の物語です。
イザナギ、イザナミの神が矛(ほこ)で海をかき回し、その雫が滴り落ちてオノコロ島ができました。
第三座 平国(へいこく)
イザナギ、イザナミの御子・火の神は、母親のイザナミを焼き殺しました。お怒りになったイザナギが火の神を切り落とすと、飛び散った血から4人の神様が生まれました。
第四座 返矢(かえしや)
アマテラスオオミカミ(天照大神)は、中津国=人間が住む世界)が乱れているという報告を聞き、これを治めるためにアメノワカヒコ(天若日子)を派遣しました。
第五座 天皇遺(てんこうき)
3人の神様が、中津国を治めるオオクニヌシノミコト(大国主命)に、これから天孫がおいでになるから国を譲れと談判する、国譲りの話です。
第六座 綱の母(つなのはは)
女神様が川のほとりで神衣を洗いさらしていると、道化者の男神が現れ、真似をしたり邪魔をしたりするので、アマテラスオオミカミがお怒りになる場面です。
第七座 神逐(かみやらい)
アマテラスオオミカミの弟・スサノオノミコト(素戔嗚尊)は大変な乱暴者で、あまりの激しさを見かねた八百万(やおよろず)の神々は、スサノオノミコトを取り押さえ、根の国に追い払う場面です。
第八座 舞入(まいいれ)
イザナミノミコトがアマテラスオオミカミ、ツクヨミノミコト(月読尊)、スサノオノミコトを無事お産みになり、それぞれに役割を与えてオノコロ島に隠れたため、これを寿く舞です。
第九座 貴見城(きけんじょう)
海彦山彦の物語で、海彦山彦のご両親は、天孫降臨の重要な役割を持つニニギノミコトだったのです。
第十座 朝倉返(あさくらがえし)
イザナギが火の神を切り殺した時に飛び散った血から生まれたイワサク(磐裂)・ネサク(根裂)の神は、中津国が無事に天孫に返ったことを祝って舞います。
第十一座 綱武(つなたけ)
スサノオノミコトが、姉のアマテラスオオミカミの田畑を荒らしたり、機屋(はたや)から馬の皮を投げ落としたりします。そこでお側の神々が、織った布でスサノオノミコトを取り押さえようとします。
第十二座 降臨(こうりん)
皇孫であるニニギノミコトが、アマテラスオオミカミから三種の神器を授かり、サルタヒコ(猿田彦)の先導のもと、高千穂の峰に舞い降ります。
第十三座 地割(じわり)
天孫降臨のとき、神々一行の行く手が八つの道に分かれており、アメノウズメノミコト(天鈿女命)がその分かれ道に立っていたサルタヒコに質問をするときの問答です。
第十四座 武者(むしゃ)
八百万の神々が鹿狩りに使用する”天の鹿児弓(あめのかこゆみ)””天の羽渡矢(あめのはわや)”を持って、荒ぶる神々を斬り鎮めます。
第十五座 宮〆(みやじめ)
アメノコヤネノミコト(天児屋根命)が、宮遷しが無事に済んだことを祝って、末永く平和が続きますようにと祈念して舞を奉げます。
第十六座 八雲払(やぐもばらい)
有名な八岐大蛇(やまたのおろち)の物語で、スサノオノミコトは出雲の国の簸川(ひのかわ)の上流で、八つの酒樽でやまたのおろちを眠らせ切り殺し、クシイナダヒメ(奇稲田姫)を助けるというものです。
第十七座 魔払(まばらい)
よこしまな神々を払う舞で、八百万の神々が真弓と美剣を持って、中津国で暴れる邪神を斬り鎮めるところです。
第十八座 神使(かみづかい)
天の岩戸にアマテラスオオミカミが篭られ、なんとか外にお出ししようと、アマノウズメノミコトが踊られるための”かがり火”を焚く場面です。
第十九座 礼始(れいし)
天の岩戸の開戸の前に、木・火・金・水の四柱の神々が登場し、アマテラスオオミカミを再び礼をもって迎えようとする舞です。
第二十座 柴曳(しばひき)
まさに神と人の運動会で、アメノコヤネノミコトが天の香具山(あめのかぐやま)の真坂樹(まさかき=榊)を根こそぎにして、天の岩戸の前に奉じる形の舞です。神と観衆がこれを引っ張り合います。
第二十一座 岩戸開(いわとびらき)
いよいよここで天の岩戸が開きます。アマノウズメノミコトが足を踏みならし乳房をあらわにして踊ると、アマテラスオオミカミが何事かと岩を少し開けられ、そのときタヂカラオノミコト(手力雄命)が一気に岩戸を開けてお迎えします。
第二十二座 柴入(しばいれ)
八百万の神々が岩戸開きを祝って、香具山の榊を手に持って喜び舞います。
第二十三座 天の〆(てんのしめ)
スサノオノミコトが、アマテラスオオミカミのいらっしゃる高天原(たかまがはら)へ行き、オオミカミより勾玉(まがたま)と三種の神器の鏡をもらって降りてこられる舞です。
第二十四座 網切(つなきり)
先の八雲払いを形を変えてこの舞は舞われます。五方の神々に祈り、真剣で綱を切り、災厄を除くものです。
第二十五座 誓約(うげい)
アマテラスオオミカミに対して弟であるスサノオノミコトが、「自分には決して汚い心はない」と誓い、勾玉と剣を用いてそれを証明する場面です。
第二十六座 公矢(こうや)
八百万の神々が、天の岩戸が開いたのを祝って天安河原(あまのやすがはら)に集まり、扇子を持って、この太平が末永く続くようにと舞う場面です。
第二十七座 荒神(こうじん)
天の岩戸を一気に開いたタヂカラオノミコトが、天の岩戸の前で荒舞う場面です。
第二十八座 心化(しんか)
先の二十五座”誓約”の手続きです。
アマテラスオオミカミとスサノオノミコトの約束により、刀から3人の女神様、勾玉から5人の男の神様が生まれたことを意味する舞です。
第二十九座 平鉾(ひらほこ)
八百万の神々が天の岩戸の開戸を祝して舞う場面です。
それぞれ手に持っている鉾は、それを銅で作って祭りの道具にしていたようです。
第三十座 五穀舞(ごこくまい)
中津国にいるウケモチノカミ(保食神)が穀物の種を持っていると聞き、オオミカミは弟のツクヨミノミコトを派遣して田畑に種をまく様子を表しています。
第三十一座 大平楽(たいへいらく)
これは、天孫降臨が無事に終わり、神様たちが天下泰平をお祝いする場面です。
第三十二座 岩戸舞(いわとまい)
岩戸開きが無事に終わったことを祝って、八百万の神々が喜んで舞う場面です。
第三十三座 大神(だいじん)
いよいよ最後の舞です。天の岩戸開きも天孫降臨も終わり、そして神楽も無事に終わったことを祝しての舞です。
索引 : な
関連語句 : 中江岩戸神楽
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