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外輪山
更新日: 2012-09-19 (水) 18:37:02 (4198d)
外輪山 は、地形的な差異により、内側のカルデラ壁と外側の外輪山斜面とに区分される。
カルデラ壁は、北半部と南半部、すなわち阿蘇谷の北側を縁取る北部カルデラ壁と南郷谷の南側を縁取る南部カルデラ壁との間で、“壁”の高さ、傾斜、開析程度、下部に発達する崖錐・沖積錐の発達状況など、地形的特徴に差異が認められ、北部カルデラ壁が全体として新鮮で形成年代が新しい感じを与える。カルデラ壁には、先阿蘇火山岩類とそれを覆う火砕流堆積物が随所に露出する。ここには、カルデラ形成(陥没)前の地形の特徴、カルデラの形成過程や形成時期、カルデラ形成後の地形変化などを知る手掛かりを与える優れたジオサイトが各地に存在する。例えば、何ヶ所かに見られる岩脈は、岩脈の性状の基本的特徴を学ぶうえで貴重であるのみならず、先阿蘇火山の構造を考えるうえでも重要なジオサイトである。また、急傾斜のカルデラ壁の下部に発達する崖錐・沖積錐・扇状地などは、カルデラ壁の形成とその後の地形変化を知るうえで重要な地形であり、さらにカルデラ壁にあるいくつかの湧泉も、カルデラ壁の地形・地質構造に対する理解を深めるうえで重要なジオサイトである。
外輪山斜面は、カルデラ縁の外側に広がる全体としてなだらかな高原地域で、主にカルデラの形成に関与した火砕流堆積物からなる火砕流台地・丘陵、波状地形などで構成される。ここは、緑川・菊池川・筑後川・大野川・五ヶ瀬川などの最上流域に相当し、河谷壁や谷底(河床)には火砕流堆積物が随所に露出する。この地域の火砕流堆積物は、しばしば溶結部を伴う。このため、河谷壁や谷底(河床)には溶結凝灰岩がつくりだす特有の地形、すなわち柱状節理を伴う垂直な河谷壁、滝、瀬や淵・ポットホールなどを伴う河床、平滑河床などが随所に発達し、この中には景勝地も少なくない。ここには、火砕流や火砕流堆積物の特徴を学び、火砕流の堆積後、現在に至るまでの期間に生じた地形変化過程を理解するうえで重要なジオサイトが数多く分布する。このほか、この地域には、温泉と地獄、先阿蘇火山岩で構成される岩塔群も数ヶ所あり、その中には磐座(いわくら)として古くから人々との関わりが続いているジオサイトもある。
参考
阿蘇ジオパーク
阿蘇ジオパークのジオサイトとして選定されています。
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