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大規模開発事業

概要

阿蘇の草原に戦後、大きな変化をもたらしたのが国による草地の大規模開発事業でした。同事業は牛乳や牛肉の増産を図るという目的で、昭和41年に事業化されました。
この結果、阿蘇では従来の入会権の慣行が大きく崩れ、草地利用の形態が多様化しました。

九州農政局の資料

草地利用の形態

1、経営主体が入会集団の外部から入り、それまでの入会利用関係を改革する型(外からの主導的な変化で入会権が処分されたり、借用されたりする場合)

	①入会権を解消する型・・・所有権対価と、入会権補償対価を同時に支払うことにより入会権を解消。阿蘇町西湯浦『熊本県畜産高等研修所』など。
	②入会権との妥協型・・・草地提供の入会権者には優先的に公共育成牧場での預託放牧ができる。西原村『西原公共育成牧場』など。
	③入会権を借り上げる型・・・旧一の宮町『エルパティオ牧場』、同『元・ハイランド牧場』など。

2、入会集団内部に変革主体形成を期待する型(従来の組合内での再編や脱退の補償)

	①入会権をもつ農家を農業生産法人に再編する型・・・旧一の宮町・旧阿蘇町、産山村の『国営大規模草地改良事業』の主に酪農団地で、畜舎・大型機械の資本装備と運営資金を必要とするため、法人格を持った組織体制とした。
	②有償解決型・・・産山村『山鹿牧場』など。法人の酪農牧場新設で、不参加者に有償補償
	③権利不行使型・・・旧一の宮町『木落・土井・三野牧場』など。

3、集団内部に変革主体が形成され、利用形態変革を行っている型(分割利用される場合)

	①分割利用型・・・旧蘇陽町『柏地区』など。ゆるい傾斜地は共同放牧地(法人)とし、その他の放牧の出来ない採草地を個人に分割払い下げた。

以上のように草地利用の形態が多様化し、地元では協業が個人経営かのいずれかによって草地の維持管理を続けています。しかし、その経営内容はなかなか厳しい。新たに設立された農業生産法人にとって、労働に見合っただけの収益を確保するのは容易ではありません。


カテゴリ : 文化・歴史
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