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火山に関する用語

火山について【動画】

火山性地震

火山体またはその周辺で発生し、震源の深さが10kmより浅い地震のことで、地下で何らかの破壊現象(はかいげんしょう)が起きて発生すると考えられています。
火山性地震にはA型地震、B型地震、爆発地震等があります。
A型地震は、マグマの活動に伴う火道周辺での岩石破壊などを原因として発生します。 一般的には構造性の地震と同じで、P波、S波の相が明瞭です。
B型地震は、火道内のガスの移動やマグマの発砲などが原因として発生すると考えられています。 火口周辺の比較的浅い場所で発生するものと火山体等の深い場所で発生するものがありますが、 相が不明瞭のため震源が求まるものは少数です。
爆発地震は噴火の衝撃による地震で、同時に空振波や特殊な表面波も記録することがあります。
火山性地震は火山によっては火山活動が活発化すると多発する傾向があります。

阿蘇火山測候所

火山性微動(かざんせいびどう)

地震計にとらえられる火山特有の振動で、波形や継続時間(けいぞくじかん)から地震とは区別されています。
低周波地震などの特異な地震も、火山性微動の一種。
継続時間は、時には数日間にも及びます。噴火に先行することも多く、噴火予知の立場からは特に重要なデータとなります。地震が地殼(ちかく)の破壊に対応する現象なのに対し、火山性微動はマグマや水蒸気の流れに伴い、また地下水沸騰(ふっとう)し、マグマ中で水蒸気が発泡(気泡の形成)する過程で発生すると考えられています。

火山ガス

マグマ中の揮発性成分(きはつせいせいぶん)がマグマから分離して地表に放出されたもののことです。
噴火の際はもちろん多量に噴出しますが、噴火していない場合でも噴火口、噴気孔(ふんきこう)等から放出されている場合があります。
一般的にガスの成分のほとんどが水で、二酸化硫黄などの人体に悪影響を及ぼす成分はごくわずかです。
健康な方は多少吸い込んでもあまり問題はないのですが、呼吸器や心臓に疾患(しっかん)のある方、体調のすぐれない方はガス濃度によっては生命に関わる危険性があります。 過去においては火山ガスが要因と思われる死亡事故も発生しています。
阿蘇山の火口周辺では常に火山ガスが流れてくる危険性があるため、平成9年4月より阿蘇火山防災会議協議会が中岳火口の二酸化硫黄(にさんかいおう)(亜硫酸ガス)の濃度を測定し、火口への立ち入り規制を行っています。

火砕流

高温の火山ガスや火山灰・溶岩片などの火砕物とが一体となって高速で運動するのが火砕流です。
固体の火砕物が濃集した本体部の温度は600~700℃にもなり、噴煙(灰かぐら)を高く噴き上げながら時速100kmもの高速で、周囲に高温熱風(火砕(かさい)サージ)を伴います。火砕流には大きく分けて、噴煙柱崩壊型(ふんえんちゅうほうかいがた)溶岩崩落型(ようがんほうらくがた)とがあります。
火口から上方に 噴出した直後の火砕物とガスとの混合物は,周辺の空気よりも大きな密度をもっています.噴出の速度が十分な大きさでないと,この混合物は一旦噴き上がったものの浮力が得られず失速したような状態になり落下してきます。こうして生じた噴煙柱崩壊型の火砕流は、高い尾根も乗り越える厚い高速・高温の流れとなって火山周辺に広がります。
噴出した大量の火砕物は広大な火砕流台地をつくり、それが抜け出た(あと)陥没(かんぼつ)してカルデラになります。
南九州のシラス台地は姶良(あいら)カルデラ(鹿児島湾)の周囲50kmの範囲に広がっています。
溶岩崩落型の火砕流は、急斜面上部に成長した溶岩のドームが崩壊し、溶岩塊(ようがんかい)が斜面上を転落していく間にさらに細かく粉砕(ふんさい)されて内部から高温ガスが噴出し、溶岩片や火山灰と一体になって流動するものです。
これは規模が小さく(体積が一般に100万立方m以下)、その運動は地形に支配されやすく主として谷間を流下します。

火山灰

火山灰とは、火山岩が粉々になった細かい粒子(直径2ミリ以下のもの)のことです。
火山灰は火山のすぐ近くでは非常に熱いことがありますが、次第に冷たくなってしまいます。火山灰が生じるのは、火山が爆発するときや、高温の岩なだれが火山の山腹を流れ落ちるとき、 赤熱した液状の溶岩がしぶきになって飛び散るときなどです。火山灰の外見は、火山のタイプや噴火の仕方によって異なります。そのため、その色は、明るい灰色から黒まで様々で、大きさも小石のようなものから化粧用パウダーと同じぐらい細かいものまであります。空中を浮遊する火山灰は太陽光をさえぎり、視界を悪くします。昼間なのに真っ暗になるということもあります。火山噴火では、浮遊している細かい火山灰どうしの衝突によって、雷や稲妻が生じることもあります。細かい火山灰は、火山の上だけに降る場合もありますが、大規模な噴煙と一緒に風下側に流される場合もあります。

大量に降り積もった火山灰は、それまでの土壌と一体となって、 やがて火山地域の表土層になります。多くの火山周辺の土壌が肥沃(ひよく)なのは、古い火山灰の堆積物があるためです。長期的に見れば、火山活動はこのような恩恵をもたらす一方で、火山噴火による災害はめったに起きないので、肥沃な火山地域にはたいてい多くの人々が暮らしています。

降り積もった直後の火山灰粒子は、酸性の被膜(ひまく)に覆われていて、肺や目へ刺激を与えることがあります。この被膜は、雨が降ればすぐに取り除かれますが、その結果、周辺地域に供給される上水の水質が悪化する場合があります。また、酸性の火山灰は植物にも影響を与えるので、農作物が不作になることもあります。

ほとんどの噴火では、火山灰が健康被害を引き起こすことは少ないのですが、住民にとっては大きな不安材料になります。人々は、火砕流のようなもっと恐ろしい現象で命を落とす危険性よりも、火山灰や火山ガスによる健康被害を心配することがあります。これは必ずしも理にかなった反応ではないのですが、降灰現象(こうはいげんしょう)は火山周辺の非常に広い範囲に影響を及ぼし、日常生活を混乱させる主な原因になりうるのは事実です。

降灰時ならびにその後しばらくは、呼吸器系や目の症状を訴える患者の数が増えます。 このことを、医療関係者(いりょうかんけいしゃ)想定(そうてい)しておく必要があります。

火山灰が健康に与える影響

火山灰が健康に与える影響は、いくつかに分類することができます。主なものは、呼吸器系への影響、目の症状、皮膚への刺激(しげき)、そして間接的(かんせつてき)な影響です。

呼吸器系への影響

噴火によっては、火山灰粒子(かざんばいりゅうし)が非常に細かく、呼吸によって肺の奥深くにまで入ることがあります。大量の火山灰にさらされると、健康な人でも、せきの増加や炎症(えんしょう)などを(ともなう)う胸の不快感を感じます。一般的な急性(短期間)の症状は次のようなものです。

※鼻の炎症と鼻水。

のどの炎症と痛み。乾いたせきを伴うこともある。
呼吸器系(こきゅうきけい)基礎疾患(きそしっかん)がある人は、火山灰を浴びた後、 数日続く気管支のひどい症状(例えば、空せき、たん、ぜーぜーとした呼吸、息切れ) を引き起こす可能性がある。
ぜんそくまたは気管支炎の患者における気道(きどう)刺激(しげき) ぜんそく患者は、息切れ、ぜーぜーとした呼吸、せきなどの症状を訴えることが一般的。
息苦しくなる。
めったに起きないことですが、細かい火山灰に長期間さらされることによって、 深刻な肺の病気になることがあります。 このような病気が起きるのは、火山灰が非常に細かい場合や、 結晶性(けっしょうせい)シリカを含む場合(ケイ肺症のような病気が生じる)、 人々が長年にわたって高い濃度の火山灰にさらされている場合に限られます。 火山灰の中の結晶性シリカにさらされるのは、 ほとんどの場合は短期間(数日から数週間)です。 しかし、噴火中には、一般市民の生活環境においても、短期間、 曝露限界(ばくろげんかい)の推奨基準(ほとんどの国で同程度の基準を用いています) を超えることがあるという調査結果が報告されています。
最も危険度が高いのは、ぜんそくや気管支炎、 肺気腫(はいきしゅ)など肺に問題を抱える人々ならびに深刻な心臓疾患のある人々です。

慢性肺疾患(まんせいはいしっかん)の方は注意!

細かい火山灰粒子は気道を刺激して収縮(しゅうしゅく)させます。 そして、すでに肺に問題がある人々の呼吸を、さらに困難(こんなん)にします。 細かい粒子によって気道内面での分泌(ぶんぴ)も多くなり、 せきが出たり、息苦しくなったりする原因にもなります。 ぜんそく患者は、発作的なせきや、胸部のしめつけ感、 ぜーぜーとした呼吸に苦しむことがあります。 特に子供の場合、外で遊んでいる間に大量の火山灰を浴びる可能性が高く、 この傾向が顕著(けんちょ)です。 それまでにぜんそくになった自覚がなくても、 降灰後にぜんそくの症状に見舞われる人がいます。 これは特に、火山灰の中を外出し、 過重労働(かじゅうろうどう)をした場合に起こりやすいようです。

※呼吸器系の症状に影響を与える要因は?

火山灰を吸い込んだことによる呼吸器系の症状の進展(しんてん)は、 多くの要因(よういん)によって変化します。 主な要因としては、大気中の火山灰粒子の濃度、 火山灰中の細かい粒子の割合、曝露(ばくろ)頻度(ひんど)や期間などがあります。 火山灰に混ざっている結晶性(けっしょうせい)シリカや火山ガス、 エアロゾルの有無、そして、気象条件も関係します。 それまでの健康状態や、 防塵(ぼうじん)マスクなど呼吸器を保護する器具を使っていたかどうかということも、 症状に影響を与えます。

目の症状

目の炎症は、火山灰による健康影響の典型的なものです。 なぜなら、火山灰のかけらによって、目に痛みを伴う引っかき傷 (角膜剥離(かくまくはくり))や結膜炎が生じるからです。 コンタクトレンズを着用している人は、特にこの問題を認識しておく必要があります。 そして、角膜剥離を予防するため、 降灰時にはコンタクトレンズを外しておくことをお勧めします。

一般的な症状は次のようなものです。

  1. 目の異物感。
  2. 目の痛み、かゆみ、充血。
  3. ねばねばした目やに、涙。
  4. 角膜剥離や擦り傷。
  5. 急性結膜炎や眼球を取り囲む結膜のうの炎症。 これらの炎症は、火山灰が目に入ることで起こり、 充血や、ひりひり感、まぶしく感じるなどの症状がある。

皮膚への刺激

あまり一般的ではありませんが、火山灰で皮膚に炎症を起こす人もいます。 特に、火山灰が酸性である場合に多いようです。 症状は次のようなものです。

  1. 皮膚の痛みや腫れ。
  2. 引っかき傷からの二次感染。

降灰による間接的な健康影響

火山灰そのものによる短期的・長期的な健康へのリスクと同様に、 大量の火山灰が降ることによる間接的な健康への影響も考慮する必要があります。 これらの間接影響は主に、生活基盤施設の降灰による被害によって、 2次的に引き起こされるものです。 例えば、次のようなものが挙げられます。

道路への影響

空中を浮遊(ふゆう)する火山灰によって視界が悪くなるだけでも交通事故が起きやすくなります。 しかも、道路が火山灰で覆われるという条件が加わって、 事故の危険性はさらに高くなります。 道路標示が見えなくなるだけでなく、火山灰が薄く積もった路面は、 湿っていても乾いていても非常に滑りやすく、ブレーキが利きにくくなります。 火山灰が厚く積もると、道路が通行不能になり、 被災地域への物資の供給が途絶えてしまうこともあります。

電力への影響

降灰によって停電が起きることがあります。停電は、暖房などに必要な電気機器が使えなくなるという形で、 健康に重大な影響を及ぼす可能性があります。 湿った火山灰には導電性(ゆうどうせい)があるので、 電源供給装置(でんげんきょうきゅうそうち)の清掃を行うときには、 安全な操作手順を厳密(げんみつ)に守ることが極めて重要です。

給水への影響

降灰によって、水の汚濁や給水装置の遮断(しゃだん)破損(はそん)が起きる可能性があります。 小規模でふたのない給水施設(きゅうすいしせつ) (例えば屋根から水を引き込んで集落規模の地域に給水する貯水槽のようなもの)は、 特に火山灰に弱く、少量の火山灰でも給水に支障をきたします。 有毒である危険性は低いものの、酸性度が強くなったり、 塩素による殺菌効果が弱くなったりする可能性はあります。 また、降灰時や、その後しばらくの間、清掃用に水の需要が増加して、 その結果、水不足になることもあります。

衛生施設(えいせいしせつ)(汚水処理など)への影響

自治体の衛生施設が一時的に利用できなくなると、影響が及ぶ範囲で、 病気の危険性が増す可能性があります。
屋根が崩壊する危険性 1)火山灰の重みによって屋根が崩壊することがあります。 その結果、下敷きになって、けがをしたり、死亡したりする可能性があります。 2)屋根の火山灰を清掃するときに、屋根が崩壊する危険性があります。 すでに火山灰で荷重がかかりすぎている屋根に、人の重みが加わるからです。 3)いくつかの噴火で、火山灰を清掃中に屋根から落ちて死亡する事故が起きています。

動物への影響

酸性のフッ化水素で覆われた火山灰は、 草食動物にひどい中毒を引き起こすことがあります。 特に、火山灰で覆われた牧草や土をそのまま食べる場合には危険性が高くなります。
その他の大噴火が生命に影響を与える深刻な危険には、 洪水(大規模な噴煙がひきがねとなって起きる豪雨によるもの)や、 大雨による土石流や火山性の泥流(でいりゅう)の発生などがあります。 このような場合、山の斜面に積もった大量の火山灰が動いて、 集落をのみ込む可能性があります。

噴石

噴火により火口から放出された火山砕屑物(さいせきぶつ)のうち、 直径2mm以上の火山れき及び直径64mm以上の火山岩塊を合わせて噴石と呼んでいます。
噴石は時には火口から数km程度まで飛散することがあります。 落下の衝撃で死傷したり、家屋・車・道路などが被害を受けることもあります。
ちなみに過去の阿蘇山での噴石被害の多くは第一火口から1km程度までです。

火山泥流

泥や石、水が混ざり合って谷を下ってくるもので、火砕流の熱などで雪が溶かされて発生するものを「融雪型火山泥流(ゆうせつがたかざんでいりゅう)」といいます。
時速は数十キロメートルに達し、土砂量が非常に多いので、ふもとで広い範囲に氾濫(はんらん)して泥の海と化します。
早めに高台に逃げましょう。このほか、火口から直接泥流が流れ下る「火口噴出型火山泥流」というものもあります。
また火山灰が積もったところでは、少しの雨でも「降雨型泥流(土石流)」が発生しやすくなり、下流に被害を及ぼします。

山体崩壊

地震や噴火あるいは大雨などを引き金として、山体の一部が崩壊するような大規模な崩壊を山体崩壊と呼びます。
火山は山頂部が急峻(きゅうしゅん)で不安定な地形であること、山腹は固結度(こけつど)の異なる噴火堆積物が交互に、あるいは旧地形を埋めて堆積していること、山体は熱水によって変質作用を受け劣化ていることなどの火山特有の脆弱性(ぜいじゃくせい)によって、しばしば山体崩壊を起こしています。山頂部を含むような大規模な山体崩壊は、先ず山腹ないし山麓(さんろく)に小~中の崩壊が発生し、山腹上部~山頂が不安定になって大規模な山体崩壊に至るものと考えられています。
山体崩壊による大量の土砂は山裾周辺(やますそしゅうへん)に厚く堆積するほかに、川に流入して泥流となって流下したり、川を()き止めて天然ダムを形成することがあります。下流部では堆積土砂により河床が上昇することによって、長年にわたって洪水などの深刻な影響を受けます。一方では、崩壊土砂の堆積による特異な地形や大小の湖沼(こしょう)が観光地になっている場合もあります。

空振(くうしん)

火山が爆発的な噴火を起こすとき、火口において急激な気圧変化による空気の振動が発生し衝撃波(しょうげきは)となって空気中を伝播(でんぱ)することがあります。
火口から離れるに従って減衰(げんすい)し音波となりますが、瞬間的な低周波音であるため人間の耳で直接聞くことはできません。
空振が通過する際に建物の窓や壁を()らし、窓ガラスが破損(はそん)するなどの被害が発生することもあります。

火山雷

火山爆発の噴煙中におこる電光放電(でんこうほうでん)
日本では浅間山や桜島などでしばしば観測されています。放電は煙の噴出が激しいときにおこり、電光が噴煙の中を飛んだり山頂や火口に落ちる様子が観察されます。
普通の雷では降水粒子(雨滴、氷晶、あられなど)の帯電が電光放電の原因であるのに対して、火山雷の場合には灰や砂礫(されき)の摩擦による帯電がその原因であると考えられています。火山雷の規模は普通の雷よりずっと小さく、火口の真上周辺に限られます。

火山性地殻変動

火山活動ではマグマが地下深部から上昇してきてマグマ(だま)りの圧力が上昇するとその周辺は同心円状に隆起し,逆にマグマがなくなって圧力が下がると沈降します。
マグマの動きによる地盤の隆起(りゅうき)・沈降や水平変動のパターンは、火山活動の活発な地域を中心に、ほぼ同心円状に見られます。圧力源が浅いほど変動の範囲が狭く、深いほど広くなります。従って、マグマの上昇に伴う圧力変化で地殻変動が生じたとすると、地殻変動からマグマの深さを推測することができます。
従来から、多くの活火山に傾斜計(けいしゃけい)やひずみ計が設置され、地殻変動観測(ちかくへんどうかんそく)による火山活動の監視が続けられてきましたが、最近ではGPSによる地殻変動観測が盛んに行われています。

土石流

山肌や川底の石、土砂が水と一体となって一気に下流に押し流される現象。
台風や大雨、地震が引き金となって起きています。
速度は20~40キロ程度で、予兆として「山鳴りがする」「急に川の水が濁り、流木がまざり始める」「雨が続くのに川の水位が下がる」などが挙げられるます。
九州は豪雨が多発するうえ、火山灰が堆積(たいせき)するなどしたもろい地盤の所が各地にあり、幾度となく土砂災害をおこしています。

熱雲(ねつうん)

火山噴出物の噴出様式の一つで小型の火砕流を指します。
1902年、西インド諸島マルティニク島のプレー火山の噴火のとき発生し、2万8000人の死者を出した小型火砕流が、火砕流という現象が火山学的に広く認められるようになった最初の例となりました。
この噴火を研究したフランスの火山学者により、熱雲という語が初めて提唱(ていしょう)されましたが、その後、多様なタイプの火砕流が多数発見されたため、熱雲という語はプレー型の小規模火砕流(しょうきぼかさいりゅう)に限られるようになりました。

溶岩流

液体のまま流出したマグマ(溶岩)をいいます。
火山噴出物のうち本質物質の代表的なものです。
玄武岩質(げんぶがんしつ)マグマの場合、粘性が低いため川のように流れることが多くなりますが、安山岩質マグマやデイサイト(石英安山岩(せきえいあんざんがん))質マグマの場合、通常の液体のふるまいとはかなり異なり、溶岩流の先端が崩れ落ちつつゆっくりと流動します。

降下テフラ

「テフラ」とは、火山噴出物のうち溶岩を除くもので「火砕物」のことです。
具体的には、火山灰や軽石・スコリア(これらは特に「降下テフラ」と呼ばれます)、火砕流やサージを指します。
もともとギリシャ語で灰を意味します。
特に降下テフラは、短時間(数時間から数日)で広い範囲に降り積もりますので、ある離れた場所の地層から同じ降下テフラを発見した場合、これらの地層は同じ時にできたものであることがわかります。
この考え方を用いた、降下テフラを時間指標として用い、地層の時代を推定することを、テフロクロノロジー(テフラ編年学)と呼びます。

岩屑流(がんせつりゅう)

岩屑流は空気などの低温のガスと岩屑が一緒なって斜面を流下する現象です。岩屑流に似たような現象に土石流や火砕流がありますが、これらは固体(土砂や岩屑)が何と混合しているかによって区別されています。
大量の岩屑と空気などのガスが混合するとガスが滑材として作用し、粘性の極めて低い流体のようになって斜面を高速で流下することがあります。
岩屑流の発生は山体崩壊(さんたいほうかい)のような大規模(だいきぼ)な崩壊が発生することが必要な条件であり、地震や噴火が引き金になります。


カテゴリ : 阿蘇の自然
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