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阿蘇谷・南郷谷の魚類

概要

淡水にしかすめず一生を淡水で過ごす魚(1次的淡水魚)や、主に淡水で生活するが海水でも生活できる魚(2次的淡水魚)、さらに本来は海産だが、生活史の一部を淡水や汽水(海水と淡水の混合水)ですごす魚(周縁性淡水魚)などの3つのタイプに大別されます。
阿蘇谷、南郷谷の地表水は、それぞれ黒川、白川に集められて西流し、やがて合流して立野火口瀬からカルデラ外へ流れ出るが、合流寸前の地点に、黒川には数鹿流ヶ滝、白川には鮎返りの滝がかかっていて魚の遡上を妨げています。
従って滝を境に上流域と下流域では魚相が異なり、滝より下流域では二次的淡水魚もみられるが、上流域では一時的淡水魚だけとなる。
上流域も、黒川では平地流域が広く川は大きく蛇行しているのに対し、白川ではほとんどが山地渓流であるなど、魚にとっての生息環境は両河川でかなり異なっています。
また、中岳噴火の影響も白川の方が大きく、永禄5年(1562)の中岳噴火では火山灰で川の水が濁り、白川の魚は全滅したといわれ、その後の昭和8年(1933)の大噴火や平成元年の噴火の際も火山灰で白川の水が濁って大量の魚が死に、今日なお、魚相は黒川に比べ貧弱です。
それに近年は、人間活動による水質をはじめとする生息環境の悪化や国内外の他水系からの魚の放流などにより、汚染や環境変化に弱い在来種は減少し、汚染に強く適応力に優れた外国産の移入魚(帰化魚)ばかりが目立っています。
閉鎖的な淡水域では、場所によっては本来の魚相を留めないほど変化しいて、取り返しがつかない状態になっています。
温泉地周辺にはアフリカ原産のチカダイ(ナイルテラピア)が多数繁殖し、黒川水系ではニジマス(北アメリカ原産)やカムルチー(ユーラシア大陸東部原産)もみられます。
今日、阿蘇カルデラ内に生息する在来の淡水魚は6目9科19種が知られていおり、その中には環境省のレッドデータリストで絶滅危惧種にランクされているニッポンバラタナゴや希少種のオヤニラミも含まれています。
また、北外輪山外側斜面の河川には絶滅危惧種のアリアケギバチも生息しています。


カテゴリ : 阿蘇の自然
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