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鳥類

日本の草原生態系で最高位に位置するイヌワシと、森林生態系で最高位に位置するクマタカの両雄が生息し、冬季にはカルデラ内にマナヅルやナベヅルも飛来します。世界的規模のカルデラを擁する阿蘇の鳥相はその雄大な自然に相応しく豊かで、これまでに18目44科167種が確認されています。この種類数は、日本産鳥類全体の約3分の一に当たります。ただ日本産鳥類の約半数は水鳥なので、陸鳥では約44%を占めていることになります。外輪山西北外側斜面には、熊本県最初の「野鳥の森」も設けられています。

このように鳥相が豊かなのは、草原、森林、渓谷、河川、湧水池などといった自然環境の変化に加え、九州のほぼ中央部に位置することや、ユーラシア大陸との地理的な位置関係のみならず、かつて九州と大陸が陸続きだったという地史的な経緯もあって、日本列島沿いの渡りのコースのほかに朝鮮半島を経由する渡りのコースとも関係が深いからにほかなりません。冬季、カルデラ内に大群で飛来するミヤマガラスやそれに交じるコクマルガラス、さらにマナヅルやナベヅルなどは朝鮮半島経由で飛来し、迷鳥のオオノスリやカタシロワシ・アネハヅルなどもこのコースで飛来したものと考えられ、ことに朝鮮半島経由の渡りのコースとの関係は、阿蘇の鳥相を特徴づける大きな要因にもなっています。

一方、高く冷涼な気候から本州中部以北の鳥相と類似し、繁殖する鳥のなかに動物地理学上注目すべきものが何種か存在します。広大な草原は草原性の鳥には格好のすみかで、極東の希少な依存種のコジュリンの繁殖が知られているのは西日本では阿蘇だけです。コヨシキリの繁殖も西日本で知られているのは阿蘇からくじゅうにかけての草原だけで、オオヨシキリは通常河口のアシ原で繁殖するが、阿蘇では高原の湿地でも繁殖しています。オオジンギの繁殖も九州では北外輪山の草原で初めて確認されました。また、カッコウセッカヘノ珍しい托卵なども確認されています。

一方、森林ではツミの繁殖が外輪山西北外側斜面の菊池渓谷で九州で初めて確認されたほか、近年、九州では冬鳥と考えられていたオオタカの繁殖も確認されています。また、九州の他地域では稀なノスリやダム湖畔でのミサゴの繁殖なども知られています。

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カテゴリ : 阿蘇の自然
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