民話
チューヨミ鳥
あるところに、チューヨミさんちゅう人がおんなはったちったい。
いつも牛に水をやるとが、一日の仕事になちょったちったい。
そしたところが、遊びばかりけーのぼせち、牛に水ばのませるとば、わすれちしまいなはったちったい。
とうとう牛しゃ死んでしもたき、泣いてかたじ牛ば川ばたにうめさしたと。
そしたところが、じぶんな、やがて鳥になってしまわしたちったい。
あめが降って、川んみずがふえると、牛が流されはせんどかち思うち ゴーウ ゴーウ 上にのぼったり、下ったりして鳴くごつなったちったい。
(もうし もうし 米だんご 早よう食わにゃ ひえる)
水乞い鳥
阿蘇の岳川(たけかわ)のほとりに、チョチュミという名の子がいました。
チョチュミのうちは、お百姓さんです。
チョチュミは毎日牛の世話をするのが仕事でした。
お父さん、お母さんは田畑の仕事です。
「牛に水をのませるのを忘れてはだめだよ」
お父さん達は、今日もそういって野良仕事に出かけて行きました。
チョチュミは遊びざかりのこどもです。
でも、牛に水を飲ませるのは、絶対忘れてはいけない事でした。
お百姓にとって、一番大切な牛を死なせでもしたら大変なことになるのですから…
でも、チョチュミはその大事なことを忘れてしまったのでした。
一日中水が飲めなかった牛は、それがもとで体がよわってとうとう死んでしまいました。
チョチュミは泣きながら牛を川ばたに埋めたのです。
そして、あまり泣いたものですから、鳥になってしまいました。
「ゴーワ、ゴーワ、キキキキ」と鳴きながら川を上り下りする水乞い鳥のことを、阿蘇では「チョチュミ鳥」と呼んでいるのです。
「ほーら、チョチュミ鳥が鳴きよるばい。あしたは雨じゃろかな」
おばあさんが、そういいながら空をながめてでもいたら、翌日はたぶん雨でしょうね。
参考
くらしのあゆみ 一の宮 -一の宮町 伝統文化研究会-
「チューヨミ鳥」 山部 チモト
「水乞い鳥」 高橋 佳也