昔々阿蘇ん山ん中ん古か寺に坊さんがおったったい。そこには小坊主(こぼうず)が2~3人おって、その坊さんは大変つけあみ好きで、つけあみを見るともう目も口もないようなお坊さんじゃった。
ところが、つけあみちゅうのが非常にそん当時は大切な阿蘇ん山ん中じゃ非常なおご馳走(ちそう)じゃった。そこで、だっでんかっでんにゃ食べさせられん大変大切なつけあみじゃった。そいで、そのお坊さんはつけあみを食おうと思う時は、
「おい、小僧坊主共(こぞうぼうずども)。あんたたちゃあ、お御堂(みどう)で掃除ばせなんたい。」
と小坊主さん達をお堂にやり、掃除をしとる間にこっそり戸棚からつけあみを出して、それをにこにこしながら少しずつ食うておりました。ところが、小坊主さん達が、
「今おじゅっさんな、何んばしょんなはるじゃろか。」
と、こっそり見ると、にこにこしてつけあみば食いよるもんだけん、
「あんつけあみば食いちゃなあ、食いちゃなあ。」
と小坊主達はいつも思ちょりました。ところがある日のこと、おじゅっさんが町の方に買い物に出て行った。その留守に、
「今、あんつけあみば食おうぜ、あれを。」
と小坊主2人はこっそりと戸棚を引き開けち、そしてつけあみばじゃあて食べちみると、やっぱおいしゅうして食い始めたらやめられんな。とうとう、つけあみば殆ど食べてしもうた。ところがハッと気付いた時に、
「こりゃ、帰ったら怒られるばい。」
ち、ええまあそういうことで、
「どしたら良かろうか。」
「ん、そんにゃあ、良か知恵があるぞ。丁度(ちょうど)あのお御堂の仏さんの口の所につけあみぱ塗っとこじゃねえ
か。そいて、仏さんがつけあみば食たと言おうじゃねえかぞ。」
ち。で、この坊さんが帰って来てみると、案(あん)の定(じょう)つけあみがのうなっとるので、
「つけあみばどぎゃんしたか。」
「ああの、何んかことこと言うちから、ええ、お御堂さんが出て、戸棚ぱ開けよんなったですばい。」
それから、
「そぎゃんこつがあるもんか。」ち。
「んなら、あのお御堂に行ってごらん。仏さんの口にゃつけあみがついとるはずじゃが。」
そっで、お坊さんはお御堂の方へ行って見ると、案の定、仏さんの口につけあみばついとんので、
「こりゃ仏さんがつけあみ食ったっじやろうか。」
ちゅうち、仏さんを庭に投げつけると、仏さんは
「クワン、クワン。」
ち音を立てち、食うてないと言う。
「口のまわりにつけあみがついちょるけえ、食った証拠ははっきりしちょる。何んの食わんこつがあるもんか。んにや、確かに食いよんなった。」
それから、
「食うておるか食うてないか、おじゅっさんいっちょう、あの仏さんばたしなめてみなはり。」
それで何遍(なんべん)も聞くけれど、仏さん黙って何んとん、うんとんすっとん。
参考