民話
運のよい猟師
猟師さんが鴨打ちい行ったところが、田の畦にちっとこう曲がった畦に、鴨が十二、三羽こうやって止まっとる。
「よーし、こればいっぺんに射っとにや、どがんしたら良かろうか。
曲がっとるけん、鉄砲ば曲げちょったら良かろう。」
ちゆうとばってん、鉄砲をちつとつん曲げて、畦ん形い鉄砲構えてから射ったところが、弾やかあきゆうと曲がって、畦に十二、三羽おった鴨が全部こつちから向こうまで死んでしもうた。
ところが、そん弾んやつがまだその十二、三羽を突き抜け、先い行って山におったところの兎い行って当たった。
兎の尻当たったもんだけ、兎がたまがってから前足でバタバタ、バタバタやって、その前ん土ば掘りよったところが、そん掘った所に山芋が一杯出て来て、
それでその猟師さんな鴨ば十二、三羽、兎一匹と山芋ば一貫目ばかり肩にかついで帰りよったとこが、その橋がなかもんだけん、川ん中ば入って帰らにやならん。
で、尻ば引っからげち、川ん中に入ったとこが、底がちいっと深うして、そして胸んちかくまじ、その川水に浸かって、それをやっさで向こう岸まで這い上がってみたとこが、何んさま、その股座んとこがムズムズする。
何じゃろかと思ちから、こうやって広げち見たところが、泥鰌んやつが一杯、五合ばかり入っとった。
そって、そん泥鰌も皆これもついでに持って帰ろうち、一発の弾で鴨を十二、三羽、兎一匹、山芋一貫目、泥鰌が五合ばかり取れたちゆう話たい。
参考
くらしのあゆみ 一の宮 -一の宮町 伝統文化研究会-
一の宮町宮地 岩永 寿(出典:関西外国語大学 三原研究室 阿蘇山麓の口承説話より)
更新日: 2013-08-14 (水) 00:00:00 (4554d)