虎舞と三段つぎ

 阿蘇地方には国から無形民俗文化財の選択を受けている神楽がいくつかありますが、阿蘇市(旧阿蘇町)には神楽はほとんど残っていません。阿蘇町の民俗芸能としては「虎舞」「牛舞」がよく知られています。

 「虎舞」はにぎやかな笛や太鼓、三味線の調子にあわせて、地区の若い男女が菅笠(すげがさ)をかぶって顔を隠して踊ります。鍬起こし(くわおこし)の男、種まきの女、壁塗りの男、といった具合に、農作業に必要な道具を持ち出し、おもしろいしぐさをしながら多くの人達が輪になって踊ります。

 にぎやかな虎舞が終わると、三段つぎが披露されます。「三段つぎ」は、2歳から3歳くらいの子供が3段目の高い肩の上に登って「ししかとせ危ないよ」と笛や太鼓の調子にあわせて鈴と扇を巧みに回し踊る、まるで曲芸のような演技です。

 一方、「牛舞」の起源は明らかではありませんが、むかし、阿蘇地方に不作の年が続いて農民はやる気を失い落ち込んでいるとき、誰が考えだしたのか勇壮でにぎやかな牛舞によって不作の悪魔を追い払い、農民の働く意欲を取り戻し、五穀豊穣と繁栄を祈るために行われるようになったといいます。「牛舞」と呼ばれていますが実は「獅子舞」で、阿蘇神社についた神事であるため恐れ多いということで、「牛舞」と名称を変えて、百姓たちのレクリエーションとして受け継がれてきました。阿蘇では、お正月になるとどこの地区でも氏神様の境内や農家の広場で牛舞が行われていました。


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