孫娘には、ウェディングおはぎを。

食育ということばがある。食べることで人生を学ばせる、というような説教がましいことではない。もっと素直な、とてもあたりまえのこと、と田中英美子さん(右)は思っている。
「おいしいものを食べているときの、ひとの表情はものすごく豊かです」。あれこそすべてだ。
戦後の物のない時代に幼いころを過ごしたから、その貴さが切実にわかる。子どもには本当においしいものを食べさせることがなによりの情操教育なのだ。
ただし、おいしいものとは凝りに凝って、奇をてらったものではない。素材のちからを尊敬し、それを生かしきる料理だ。そのためには自分の畑でていねいに育てる。
「母は、もう少し身体をいたわればいいのにと思うほどじっとしていません。好きなことだから、仕方ないとは言ってもね」。娘の美恵子さん(左)は心配する。
高校生の孫娘は、つねづねこう言うのだ。「わたしのにはおばあちゃんに〈ウェディングおはぎ〉を作ってもらいたい」。
なるほど、すばらしいアイデアだ。ナイフを入れると、若い二人をねっとりと優しく祝福することだろう。
地震があったあと、「いのちをつなぐのは食べ物」ということをあらためて母娘は思った。
この仕事を母娘でやっていけることの歓びを感じつづけている。おおきな感謝とともに。
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更新日: 2021-05-11 (火) 18:25:38 (1716d)