阿蘇を源(みなもと)とする河川(かせん)
九州の都市とつながる阿蘇の河川
阿蘇は九州の主な河川の源流となっています。熊本県内の白川、緑川、菊池川はもとより、九州最大の河川である筑後川をはじめ、大分県の大野川(おおのがわ)や宮崎県の五ヶ瀬川(ごかせがわ)も源流をたどればすべてもしくは阿蘇のへたどりつきます。
これら6河川の流域面積(りゅういきめんせき)は約9,000㎢、流域人口は約230万人で、九州の人口のおよそ6分の1にあたります。
熊本県ではを使っているところが非常に多く、熊本市周辺では、生活用水のほぼ100%がを利用しています。
阿蘇が「」たる所以がここからもわかります。

系に水源をもつ水系
菊池川水系
西部の山間部(北)に発し、菊池水源()を形成して菊池平野を流れ、玉名市内を貫流(かんりゅう)して有明海に注いでいます。
上流域には、日本名水百選に選ばれている菊池渓谷など、美しい渓谷(けいこく)・滝・水源(名水)が数多く存在しています。菊池渓谷には林、モミ林、ブナ林といった自然林に、渓流の象徴である、等の鳥類が生息し、ゲンジボタルや等の昆虫類が見られます。また、ヤマメや環境省(かんきょうしょう)レッドデータブックの準絶滅危惧種(じゅんぜつめつきぐしゅ)に選定されている等の魚類も生息している、数少ない原生の自然が存在する場所です。
中流域・下流域は、菊池盆地のマコモやヨシが繁(しげ)る緩(ゆる)やかな流れから、狭窄部(きょうさくぶ)に入って河崖(かわがけ)に林やメダケ林の成立する早瀬となり、玉名平野に出ると再びマコモやヨシの繁る田園地帯(でんえんちたい)の河川となっています。
なお、山鹿市の分田橋から山鹿大橋までの約2kmが「菊池川のチスジノリ発生地」として国の特別天 然記念物に指定されています。長さは15~60cmで、川底の石に着き、美しい赤紫色で、秋から春にかけて繁ります。
また、菊池川流域では、タナゴ類は「しびんちゃ」と呼ばれ親しまれていますが、そのうちのニッポッンバラタナゴは、環境省レッドデータブックの絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)I A類に選定されている魚になっています。
白川水系
白川は阿蘇中央火口丘の一つであるを源として阿蘇カルデラの南の谷(南郷谷(なんごうだに))を流下し、同じく阿蘇カルデラの北の谷(阿蘇谷)を流れる黒川と立野で合流した後、溶岩台地(ようがんだいち)を西に流下し、熊本平野を貫流して有明海に注ぐ、流域面積480km2、幹川流路(かんせんりゅうろ)延長74kmの一級河川です。上流域には、これまで何度となく噴火を繰り返し、大量の火山灰を噴出して、時には流域に甚大(じんだい)な被害を及ぼしてきた阿蘇活火山が位置しています。
流域はジョーロ型になっており、流域の約80%を占める上流域の阿蘇カルデラはと火口原及び中央火口丘群を形成して草原及び田畑が多く、また、細長い中流域は河岸段丘及び洪積台地(こうせきだいち)上に田畑が多く、下流域には扇状地(せんじょうち)及び沖積平野(ちゅうせきへいや)で熊本市街地が広がり、河口域は水田地帯となっています。
流域の地質は、上流域では阿蘇の火山活動によって生成された阿蘇溶岩を基盤(きばん)とし、地表にはヨナと呼ばれる火山灰土が厚く堆積(たいせき)しており、中流域は段丘砂礫層(だんきゅうされきそう)が黒色ロームで、下流域は沖積層(ちゅうせきそう)で覆われています。

緑川水系
緑川流域は、山地の割合が72%で急流部から直ちに低平地(熊本平野)に流下し、途中多くの支川を合わせ有明海に注ぐ葉状流域河川(ようじょうりゅういきかせん)で、年平均降雨量が約2,200mmの梅雨性の河川です。
緑川上流域山地の大半は、植林が占めるが、水源地周辺は、九州中央山地周辺国定公園に指定される程の原始林(げんしりん)に囲まれた豊かな自然環境を有しています。
中流域丘陵地(きゅうりょうち)は、中小起状丘陵地が広がり、石橋に適した凝灰岩(ぎょうかいがん)が多く「肥後の石工」により、日本一の数の石橋がつくられ、「通潤橋(つうじゅんきょう)」を代表するよう数多くの石橋を見ることが出来ます。又、地質境界部(ちしつきょうかいぶ)には、江津湖を代表する湧水・湧泉が数多く分布し、のスイゼンジノなど貴重な動植物の生息が確認されており、自然を利用した公園・キャンプ場等の観光地が多く、熊本市郊外に位置することから毎年多くの河川利用者でにぎわっています。
下流域三角州低地は、内外水氾濫(はんらん)の常襲地(じょうしゅうち)で、産業・経済の発展の為、中世鎌倉時代から様々な治水事業が行われ、加藤清正隈本(くまもと)入場後大規模な治水事業を施し、現在もその遺構が数多く引き継がれています。
又、熊本県内一の規模といわれているヨシ原が河口域に広がり、河川敷に帯状に連なるメダケ林と相成(あいな)って、サギ類等鳥類のねぐら・営巣地(えいそうち)として利用され、緑川の特徴的な生態系及び景観をなしています。
筑後川水系
筑後川は源をに発し、高峻(こうしゅん)な山岳地帯を流下して、阿蘇北から流れ出る小田川などの多くの支川を合わせ、肥沃(ようひ)な筑後、佐賀両平野を貫流し、さらに、早津江川を分派(ぶんぱ)して、有明海に注いでいます。
源流から夜明渓谷(よあけけいこく)に至る上流部は、日田美林として知られる杉、ヒノキからなる豊かな森林に恵まれた山間渓谷を経て玖珠川(くすがわ)を合流し日田盆地を貫流し、河岸にはツルヨシ群落、ネコヤナギ等のヤナギ、アラカシなどの高木林(こうぼくりん)が見られます。礫河床(れきかしょう)の流水域には、カワムツなどが生息し、砂礫河床(されきかしょう)の早瀬にはアユ、水際の抽水(ちゅうすい)・沈水(ちんすい)植物生育地にはなどが生息しています。また、水のきれいな砂礫地を好むゲンジボタル、、などが生息し、渓流には、などが生息しています。
夜明峡谷から筑後大堰(ちくごおおぜき)までの中流部は、九州を代表する穀倉地帯(こくそうちたい)である筑紫平野を緩(ゆる)やかに蛇行(だこう)しながら流れ、瀬、淵、、河原等の多様な動植物の生育・生息環境を形成し、流域最大の都市である久留米市外部を貫流する。水際にはエビモ、ヤナギモなどの沈水植物、低水敷にはツルヨシ群落など、高水敷(こうすいじき)にはオギ群落などが分布し、河岸にはアカメヤナギ、などの高木林が点在し、高水敷には九州北部でも少ないセイタカヨシ群落も分布しています。
河川には、流水域を好む、緩流域(かんりゅういき)を好むウグイ、フナ類等が生息し、早瀬はアユの産卵場となっています。また、水際の抽水・沈水植物生育地には、キイロカワカゲロウなどが生息しています。陸域では、、河原で繁殖するコアジサシ、チドリなどの鳥類、オギ等高水敷のイネ科植物に巣を作るなどの哺乳類(ほにゅうるい)が生息しています。陸域では、、河原で繁殖するコアジサシ、チドリなどの鳥類、オギ等高水敷のイネ科植物に巣を作るなどの哺乳類が生息しています。
筑後大堰より河口までの下流部は、クリークが発達した筑紫平野の中を大きく蛇行(だこう)しながら有明海へと注ぎ、23kmに及ぶ長い感潮域(かんちょういき)で、河口を中心に干潟(ひがた)が形成されています。水際にはヨシ原が広がりアイアシ等の塩性植物群落(えんせいしょくぶつ)が分布し、エツ、アリアケヒメシラウオなどが生息しています。干潟にはムツゴロウ、シオマネキ、ハラグクレチゴガニなどが生息し、シギ・チドリ類などの餌場、休息場等としても利用されています。高水敷にはカササギやヨシ原に営巣(えいそう)するなどの鳥類が生息しています。

大野川水系
大野川は源を宮崎県西臼杵郡祖母山(にしうすきぐんそぼさん)に発し、のの湧水が生み出す玉来川(たまらいがわ)などの支流とあわせて、中流峡谷部を流下し、大分平野に出て、さらに支流を合わせ、別府湾に注いでいます。
上流部には、滝裏の岩の狭間を巣とするや渓流を好むアマゴ等が生息しています。最上流部には谷間に育つシオジ等が自生していて、それらの林床や渓流にオオダイガハラ等が生息しています。
中流部には河岸かがんの崖を巣とする等や淵や瀬を好むやアユ等が生息していて、水裏の砂礫地されきにはツルヨシ等が繁茂しています。
下流部は、感潮区間(かんちょうくかん)の末端の瀬はアユの産卵場となっている。高水敷はほとんどが発達したオギの群落で占められ、等が生息しています。
乙津川(おとづがわ)では、水辺から高水敷にかけてヨシ、オギ等が繁茂しています。
{五ヶ瀬川水系
五ヶ瀬川流域(ごかせがわりゅういき)は、宮崎県、大分県及び熊本県の3県にまたがり、流域の土地利用は、山地等が約94%、水田や果樹園等の農地が約5%、宅地等市街地が約1%となっています。
五ヶ瀬川の源流付近は、スギ、ヒノキなどの山林を中心とする山峡で、その一部の区間では巨石が点在し、自然河川の様相(ようそう)を&ruby(pronunciation){words};及びに指定され、秋の紅葉など四季に富んだ自然環境に年間約100万人を超える観光客が訪れています。
五ヶ瀬川中流部流域の大部分が祖母傾(そぼかたむき)公園(国定・県立公園)に指定され、国の特別に指定されているニホンカモシカが生息しています。また綱ノ瀬川の鹿川(ししがわ)渓谷、日之影川の見立(みたて)渓谷は風光明媚(ふうこうめいび)で宮崎県北の観光名所となっています。さらに本川は豊かな水量に恵まれ、大きな瀬や淵が存在し、大型アユが捕れる川として全国に知られています。
五ヶ瀬川流域 五ヶ瀬川の下流部は、延岡市の三輪で大瀬川と分かれ、その水域にはカワアナゴ、カマキリなどの貴重な魚類が生息しています。一方、大瀬川には百間(ひゃっけん)、三須(みす)、安賀多(あがた)といったアユの産卵場があります。また三須付近の広大な中州や河川敷にはが生息するオギ原が広がっています。
河口周辺ではアカウミガメの産卵が見られる砂浜が存在し、大瀬川の鷺島(さぎしま)橋下流には、などが生息するヨシ原が広がるとともに、サギ類が営巣(えいそう)する河畔林(かはんりん)が見られます。
また、最大支川である北川は、湧水に支えられた湿地やが点在し、ハマボウ及びオグラコウホネなど70種以上もの貴重種が生育・生息しています。さらに水晶部の崖地の淵には河畔林があり、瀬はアユの産卵場となっています。汽水域にはカワスナガニが広く分布し、川島かわしま、大峡おおかいより下流には、コアマモ群落が形成されており、アカメなどの稚魚の生息場所となっています。
河川の概要
| 河川名 | 流域面積(㎢) | 延長(㎞) | 流域内人口(人) | 源流地 |
| 大野川 | 1,465 | 107 | 206,818 | 、波野、久住町 |
| 五ヶ瀬川 | 1,820 | 106 | 134,128 | 山都町 |
| 緑川 | 1,100 | 76 | 517,189 | |
| 白川 | 480 | 74 | 131,375 | |
| 菊池川 | 996 | 71 | 208,694 | 、旭志 |
| 筑後川 | 2,860 | 143 | 1,090,777 | 、 |
| 合計 | 8,721 | 577 | 2,288,981 |
参考
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更新日: 2015-02-19 (木) 15:06:51 (3989d)